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2020.03.23

  • sake
  • treasure

「酒どころ広島」の日本酒は
史上最高においしくなっている!
広島“酒”コラム 第一回

日本酒の三大銘醸地の1つ、西条を抱える広島県。1887年(明治20年)には安芸津(現東広島市)の酒造家、三浦仙三郎氏によって「軟水醸造法」が考案され、口当たりが柔らかくふくよかな吟醸酒が生まれた土地でもあります。
広島市内でチーズ専門店を経営する木村潤さんは、県内全ての酒蔵を巡ったという大の広島の日本酒好き。今も必ず休みには、どこかの蔵を訪れるという木村さんの視点で、広島の酒の魅力をお話ししていただきました。

チーズ専門店『フロマジュリーピノ』店主・木村潤さん

東京やフランスなどでフランス料理を学んだ経験を生かし、2008年に地元の広島でチーズ専門店をオープン。広島の蔵元から「うちの酒にチーズを合わせてほしい」「日本酒とチーズの勉強会をしよう」と声をかけられたことをきっかけに、広島の酒のおいしさや、日本酒とチーズを組み合わせる意外なおいしさに目覚め、蔵巡りをするようになったそうです。

チーズ専門店『フロマジュリーピノ』店主・木村潤さん

東京やフランスなどでフランス料理を学んだ経験を生かし、2008年に地元の広島でチーズ専門店をオープン。広島の蔵元から「うちの酒にチーズを合わせてほしい」「日本酒とチーズの勉強会をしよう」と声をかけられたことをきっかけに、広島の酒のおいしさや、日本酒とチーズを組み合わせる意外なおいしさに目覚め、蔵巡りをするようになったそうです。

東広島市西条駅周辺の「西条酒蔵通り」にある案内看板。多数の酒蔵が点在して観光名所にもなっている。

洋館と白壁のレトロな雰囲気の「賀茂鶴酒造」

西条で最も高い赤レンガの煙突が目印の「福美人酒造」

私が蔵を巡る際に参考にしたのは、広島県酒造組合の1958(昭和33)年の名簿です。それには約180もの蔵名が並んでいますが、2020年3月現在も営業しているのは45軒ほど。廃業した蔵の跡地にも足を運び、広島の酒を育んだ風土や先人たちの息吹を感じています。
広島に限らず、かつては物流や人の往来が活発な土地には、必ずと言っていいほど造り酒屋がありました。広島では安芸路や吉備路といった街道沿いや、瀬戸内海の潮待ち港、呉の軍港周辺、県北の米どころなどで酒造りが盛んに行われていました。現在はわずかになりましたが、島嶼部にも蔵が林立していたそうです。

日本酒の消費量の減少や後継者問題などから、廃業していく蔵が後を絶たない状況が続く中で、「広島の酒を盛り立てよう。もっとうまい酒を造ろう」という旗振り役になったのが、「相原酒造」「宝剣酒造」(呉市)、「天寶一酒造」(福山市)、「金光酒造」「今田酒造本店」(東広島市)、「美和桜酒造」(三次市)の6人の蔵元による「魂志会(こんしかい)」です。地域も世代もバラバラですが、みなさん酒造りへの情熱にあふれ、酒販店や飲食店との勉強会や、県内外でのイベントのほか、新たな試みにも意欲的に取り組まれています。例えば「今田酒造本店」は、最近、精米機メーカーのサタケさんと、新たな精米技術を用いた酒造りに挑戦され、今後の展開にも注目が集まっています。

また近年は蔵元の世代交代が進み、20~30代の若い世代が奮闘している蔵が増えてきました。例えば「藤井酒造」(竹原市)の6代目や、「旭鳳酒造」(広島市)の7代目など。彼らは受け継がれてきた伝統を継承しつつ、自分たちの独自の感性を酒造りに生かしたり、若い人にも楽しんでもらえるようなPR活動に取り組んだりして、広島の酒の新たなファンを獲得しています。そして、言われすぎていると思うのであまり言いたくないですが、イケメンです。

竹原市にある藤井酒造の6代目・藤井義大さん。

広島市安佐北区可部にある旭鳳酒造の7代目・濱村洋平さん。

先にあげた「魂志会」や若手に限らず、県内の蔵元や杜氏の方々は、昔から横のつながりを大切にされ情報交換の機会も多く、酒談義が白熱すると「そこまで言うか!」というくらい、批評し合うこともあるのだとか。また県立総合技術研究所でも、新しい酵母や酒米の開発に取り組み、定期的な勉強会を蔵と合同で行っているそうです。広島の酒造りには長い歴史と伝統がありますが、行政と蔵、そして農家も一緒になってお互いを高め合い進化してきた今、広島の酒は史上最高においしくなっているのではないでしょうか。個人的には「これ以上おいしくなりようがあるのか?」というレベルだと感じています。にもかかわらず、酒造関係者のみなさんは「もっともっと」と切磋琢磨されているので、今後もさらに広島の酒がおいしくなっていくことが、楽しみで仕方ありません。

そんな広島の酒について「どんな酒なの?」と聞かれると、規模も、設備も、酒の味わいも、蔵によってさまざま。「榎酒造」(呉市)の貴醸酒のように海外でも人気の高いものもあれば、「賀茂鶴酒造」(東広島市)や「三宅本店」(呉市)のような全国的に知名度の高いもの、「小野酒造」(北広島町)や「三輪酒造」(神石高原町)などのように地域の生活に根付いているものもあります。他にもマンションの地下に蔵がある「原本店」(広島市)、NHKの朝ドラにも登場した「竹鶴酒造」(竹原市)など挙げればきりがなく、決して一口に語ることはできません。共通して言えるのは、広島の酒は、広島で、広島の食材と味わうのが最高の楽しみ方ということ。造られているご当地で飲むことができれば、なお一層おいしく感じられることと思います。飲食店でどれを飲もうか迷ったときは、「すっきり」「フルーティー」「コクがある」などの好みを伝えて、お店の人に料理とペアリングしてもらうのがおすすめです。ぜひ個性豊かな広島の酒の世界を、味わってみていただきたいです。

TEXT BY TJ Hiroshima-タウン情報ひろしま

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※写真はすべてイメージです。

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