東広島市の中央にある西条は、高所にあって冬の仕込みに適した気候と地下水に恵まれ、大正・昭和の初めに「酒都西条」と呼ばれる一大銘醸地になりました。秋に行われる「酒まつり」は、毎年20万人を超える人出でにぎわいます。見所は、東西1kmの範囲内に7つの酒蔵が連なる酒蔵通り。西条駅の開通(1894年)をきっかけに、明治の終りから大正の初めにかけて、街道沿いにある商家が次々に酒造りを始め、醸造蔵が次々と建つようになり発展しました。現在も、12本の赤レンガの煙突と、白い漆喰と黒いなまこ壁とのコントラストが美しい、情緒あふれる街並みが残っています。
瀬戸内海に面した小さな港町・安芸津は、広島の軟水にあった醸造法を生み出した「広島酒の祖」とも言える地です。明治時代に酒造家・三浦仙三郎によって生み出された軟水醸造法は、「三津流」と呼ばれました。酒蔵は最盛期には20社を超え、天下の銘醸地と呼ばれたものの、現在は「関西一」の柄酒造と、山裾に立つ「富久長」の今田酒造本店2社を残すのみ。今も伝統的なたたずまいの重厚な酒蔵を残しています。
広島から新幹線で最速22分、在来線で最速72分、瀬戸内海観光の交通拠点・三原は、瀬戸内の環境に育まれ、近世は、戦国時代の名将・小早川隆景が築いた三原城のもと、栄え、近代以降は企業の城下町としても発展してきました。筆影山の桜や、紅葉が美しい佛通寺など、四季を通じて楽しめます。筆影山から見られる瀬戸内海の多島美は瀬戸内海随一。海の幸にも恵まれ、なかでも三原は、瀬戸内でも有数のマダコの産地として知られています。食、自然探勝や歴史探訪など、まちの歴史や文化からなる「みんなが知らない瀬戸内の情景」を体感できます。
江戸時代前期に塩や酒づくりで栄えた豪商のお屋敷や由緒あるお寺が美しい、まるでタイムスリップしたかのような情緒あふれる町並みが広がる竹原。NHK連続テレビ小説「マッサン」のモデルにもなった、ニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝のふるさとです。酒造りは、今も竹鶴酒造、藤井酒造、中尾醸造の3蔵がしのぎを削り、日本酒の通たちをうならせています。瀬戸内の魚をふんだんにつかった「魚飯(ぎょはん)」をはじめ、地元の酒蔵の酒粕を生地に練りこんで焼き上げる「純米吟醸たけはら焼」など、ご当地グルメも魅力です。野生のうさぎと触れ合える大久野島は、竹原市の忠海港から船で約15分。
戦前から日本を支える工業都市であるとともに、瀬戸内の多様な歴史資源と美しい景観を有する魅力あふれる街。呉で建造された世界最大の戦艦「大和」を通して、呉の歴史、平和の大切さ、科学技術の素晴らしさを伝える『大和ミュージアム』は、2005年の開館依頼、来館者数1200万人を超えるほどの大人気。
また、日本で初めて実物の潜水艦を陸上展示した『てつのくじら館』や、海上自衛隊の潜水艦や艦艇を間近で眺めることができる公園『アレイからすこじま』なども、旧軍港市ならではの観光スポットとなっています。旧海軍のお膝元ということもあってか、実は酒蔵が数多く存在します。